PC-BSDの日本語化
サイオンコミュニケーションズ株式会社
山城 潤(yamajun@syon.co.jp)
1. はじめに
PC-BSDとはFreeBSDをデスクトップ向けに使いやすくなるように編集したディストリビューションです。QtとKDEを利用してインストーラーをGUI化したり、クリック一つでインストールできるパッケージシステムを用意しています。
今回は、このディストリビューションを日本語化するために必要なQtプログラムの翻訳作業の方法について解説します。
(PC-BSDを日本語化するためには、翻訳の他にも日本語入力環境の整備などが必要なので、この作業だけで「日本語化」されるわけではありませんが…)

図1. PC-BSDのインストーラー
2. 作業環境
今回の作業で必要なものは
・qmake, linguistなどのQt開発環境がインストールされたUNIX系OS(PC-BSDやFreeBSDでなくてもOK)
です。今回の作業例ではFreeBSD上で作業を行いました。
3. 作業の概要
Qtで作成されたプログラムは、言語ソースファイルを用意して原語(主に英語)→翻訳対象言語(この場合は日本語)の変換を行うことで、表示言語を切り替えることができます。そのため、プログラム本体に変更を加える必要はありません。
- 言語ソースファイル(*.ts)の作成
- 翻訳作業
- ソースをコンパイルして言語ファイル(*.qm)を作成
- 言語ファイルをコピーしてプログラムから見えるようにする。
- ロケールを日本語に設定した状態でプログラムを起動して日本語表示を確認する。
4. 翻訳作業
PC-BSDプロジェクトから、インストーラーなどの英語版言語ソースファイルが出ているので、これを編集して日本語版を作成します。
% mv PCBSDinstall_en_US.ts PCBSDinstall_ja_JP.ts % linguist またはテキストエディターを起動して訳文を入力
言語ソースファイルはUTF-8なXMLファイルで書かれているので、翻訳支援ツールQt Linguistか、UTF-8を編集できるテキストエディターを利用して作成します。

図2. 翻訳支援ツールQt Linguist
<message>
<source>MB of free space available.<source>
<translation>利用できる空きスペース(MB).<translation>
<message>
<message>
<source>Add<source>
<translation>追加(&A)<translation>
<message>
<message>
<source>Alt+A<source>
5. 言語ファイル作成
Qt Linguistのメニューで「File→Release…」を実行するか、
lreleaseコマンドを実行することで、言語ファイル(*.qm)を作成します。
% lrelease PCBSDinstaller_ja_JP.ts
6. 言語ファイルのテスト
できあがった言語ファイルをテストするために、
SourceForgeの
PC-BSDプロジェクトページ
からインストーラーのソースコードをダウンロードしてテストします。
ソースコードに言語ファイルを追加してビルド:
% tar xzf PCBSDInstall-0.7.5-src.tgz % cd PCBSDInstall % vi Makefile (コンパイルに必要な変更を行う) % make
言語ファイルをコピーして日本語モードで実行:
% su # mkdir -p /bin/PCBSDScripts/LANGS # cp /path/to/PCBSDinstaller_ja_JP.qm /bin/PCBSDScripts/LANGS # setenv LANG ja_JP.eucJP # ./PCBSDInstall

図4. 日本語訳されたインストーラー
これで、日本語版言語ファイルがインストーラーに反映されることが確認されました。
7. 今後について
PC-BSDプロジェクトでは今後のリリースに向けて各言語の言語ファイルを募集しています。英語版の言語ソースファイル中にある英語は全て翻訳したので、テスト後に開発者に送付する予定です。
Update: 開発者向けフォーラムに投稿しました。























